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福岡県久留米市在住の琴古流尺八奏者、 山口 翔(やまぐち しょう)と申します。
習得してきた琴古流尺八の古典的な楽曲・技法を大切にしながら、演奏の場や発信方法を現代的かつオープンなスタイルに刷新することで、誰もが敷居の高さや閉塞感を感じることなく純粋に「音楽」として邦楽を楽しめるようにと活動を続けています。演奏・レッスン依頼や合奏のお誘いなど、どうぞお気軽にお声掛けください!!
【ジョイントweb演奏会】
「ジョイントweb演奏会」とは、「お互い自分の地元にいながらにして、インターネットを媒介として共演する」、いわば「オンラインでの共演」です。
この方法を使えば、日本中の離れた地域に住む人どうし、もっといえば世界中の人との共演も可能です。
実際には会ったことのない遠く離れた地に住む人とも、音楽的な趣向が合えばネット上で共演できる。特に純邦楽の共演者探しそのものが大変な地方在住の奏者からすれば、面白い試みではないでしょうか。
和楽器・純邦楽の表現方法の一つの形として、発表してみたいと思います。ご視聴、どうぞよろしくお願いいたします。
山田流箏曲『竹生島』<
R2.5.4 公開
唄・箏:大庫こずえ
尺八:山口 翔
山田流箏曲家・大庫こずえさんと初めて「web上で共演」させて頂いたのが、今から3年半ほど前の平成28(2016)年12月のことでした。そもそも、この「web演奏会」という試みを思いついたのも、Facebookで大庫さんと出会い、意気投合したときに投げかけられた言葉「便利なツールで時空を超えられたら」がきっかけでした。ただでさえ人数の少ない邦楽人口。地方になればその人口密度の低さたるや、中々自由に共演できる、音楽的趣向の共通した「同志」に出会うことは困難である、そうした課題を克服すべく考え出したのが、それぞれ別の場所で(たとえ遠隔地どうしだったとしても)演奏した動画をつなぎ合わせて公開するという手段だったわけです。のみならず「会場」「集客」といったことに頭を悩ませる必要もない。「お客様」も「時空を超えて」聴いて下さるという利点もありました。最大のデメリットである「生演奏ではない」という欠点を差し引いても、これは人口減に悩む邦楽の現状に対して一石を投じるものではないか…、そう信じて、この3年半、幾度か様々な共演者の方にお願いし、演奏・公開を繰り返してきました。旧来のしがらみにとらわれず、この新規な試みに賛同・共演して下さった全ての共演者の方々には心から感謝しているところであり、中でも大庫さんは何度も合奏して下さった恩人であります。
…しかし、まさか世の中が今日のようにガラリと様変わりし、三曲合奏はおろか、クラシックやポップス界のミュージシャン、いやテレビ番組内のニュースのコメンテーターに至るまで「ステイホーム」で「時空を超えた」共演が当たり前になる事態になろうとは、予想だにしていませんでした…。1日でも早い収束を心より願うと同時に、三曲合奏・山田流箏曲の魅力を感じる一人として、演奏を公開させて頂きます。決してメジャーとは言えない音楽ジャンル…、しかし、この音楽が持つ「粋」なカッコよさ、「竹生島」というテーマの持つ縁起の良さ、何よりも、日本という国に連綿と受け継がれてきた糸と竹の音色が、一人でも多くの聴き手の方の心に届き、これからを生きて行く希望への一助となりましたならば、これに勝る喜びはありません。
音楽をはじめとした芸術は、生活に必需とは言えない「余技」であり、「無駄な贅沢」なのかも知れません。しかし、我々人間の暮らしを豊かに彩り、日々の幸せを感じさせ、明日への活力を生み出すことができるのはまさに芸術なのではないかと信じます。平和な日常が戻ってきた時、人々はきっと芸術を、音楽を希求するのではないでしょうか。中でも、この日本という国に生まれた美しい和楽器の音色は、われわれ日本人を、いやその音色に魅了された世界中のたくさんの人々の大切な財産として、大きな力を発揮してくれることでしょう。それまで絶やさず、大切に演奏を続けていく所存です。
山田流箏曲『菊水』
R1.8.5 公開
唄・三絃:大庫こずえ
尺八:山口 翔
Facebook上で、大庫さんが『菊水』の三絃独奏の演奏を公開されていたことから、久しぶりに「web上での共演」をお願いし、今回のジョイントweb演奏会開催の運びとなりました。大庫さん、いつも本当にありがとうございます。
この曲は竹友社の「青譜」で通常通り発行されているのですが、自分が師匠にきちんとお習いしておらずに残っていた数曲のうちの一つでした。戦前は「南朝が正当」という認識が日本国民において一般的で、楠木正成は忠臣として英雄視されていたそうです。当時はよく芝居や小説、そしてこの『菊水』のように、音楽作品の題材となって人々から人気を博したのだとか。そういえば尺八においても「虚無僧の元祖は楠木正勝(正成の孫)」というような話もありました。しかし、戦後はそうした南朝正統論や楠木正成に対するシンパシーが薄れていったためか、次第に演奏機会が減少してしまったようです。
本来ならば、唄・箏本手、三絃、尺八による三曲合奏が通常の演奏形態でありますが、「箏が主」の山田流箏曲ながらあえて「唄・三絃、尺八」の合奏として仕上げてみました。山田流には、江戸の感性に合わせて、浄瑠璃など三味線音楽の要素を箏曲化して生まれたという成り立ちがあります。そういう経緯からすると、山田流箏曲を三味線を主体にした音楽として演奏してみることも、その音楽的性質からして興味深い試みであると考えました。
【「而今の会」演奏会およびweb演奏会】
芸歴、流派、居住地の垣根を越え、地歌箏曲を愛する同志が三曲合奏を行う「而今の会」。
山田流の大庫こずえさん、生田流の東啓次郎さんとご一緒に、平成29年8月18日(金)長野県上伊那郡飯島町「 飯島本陣陣屋」にて、地歌箏曲のライブをさせて頂きました。
その折りの「笹の露」のライブ映像、そしてその後に公開したweb演奏会(ネット上の共演)での「八千代獅子」「夕顔」です。
>>「而今の会」ブログは、こちら!!
【筑前琵琶との共演】
H29.5.13 Live @うきは市浮羽町”JAPAN TRIODE MEETING FUKUOKA”
橘流筑前琵琶:石橋旭姫
琴古流尺八:山口 翔
橘流筑前琵琶演奏家の石橋旭姫さんとご一緒に、筑前琵琶・琴古流尺八の合奏を行っています。
尺八の手付けは、山口が琵琶の歌と手を研究してベースを作った上で、石橋さんとともに合わせていきながら練り上げていきました。
筑前琵琶と琴古流は、ともに福岡県と縁深い芸能なのですが、不思議なことに、これまで、あまり多くの関わりを持たずにそれぞれの発展の道をたどってきたようです。
はるか1000年の昔に雅楽の楽器として大陸より伝わり、中世からは仏教との関わりを深く持ちながら「独奏楽器」として長い歴史を歩んできたこの二つの和楽器を、古来の伝統手法や楽曲を尊重しながら、平成の現代に生きる音楽として「共演」して行きたいと思っています。
【他流派との吹合せ(合奏)】
H28.5.28 @ 久留米市共同ホール
都山流尺八:猿渡伶山
琴古流尺八:山口 翔
都山流尺八演奏家の猿渡伶山氏と、都山・琴古の吹き合わせを行いました。
曲は「夕顔」。まるで、あらかじめ二重奏として作曲されたかのような合奏になりました。
都山流と琴古流の地歌箏曲の手付けの違いも、このように一緒に合奏する楽しみ方もあるなと、改めて尺八の楽しみ方の幅広さが感じられました。
山口 翔(やまぐち しょう)
R5.4.1更新